わたしを呼んでいたのは
あなたは、八景島シーパラダイスのイルカショーを見たことがあるだろうか。
正確には、ショーをやっているサイドの水槽。
私は昨日、横浜で1日空いていたので、ふと最近思っていた「水族館に行きたい」を実行してきました。
水が好きなので、わくわくしながら行きましたが、家族連れやグループで来ている人々のわいわいした声が自分の気分と合わず…。
なんとなくシャットアウトしながらゆっくりと全体を見て回りました。
途中、セイウチやイルカのショーを見て、トレーナーさんやイルカの一生懸命さに心を打たれつつ、もう出ようかな、というとき。
ふと1ヶ所見ていない所があったので、ふらっと寄ってみました。
それは、イルカショーをやっているメイン水槽の左側の水槽。
白イルカや他のイルカが出演まで入れられている水槽ですが、そこでふと目に留まったのが、ずっと同じ所から動かないオキゴンドウ。
回りでは、泳ぐの楽しー!
と言わんばかりの勢いで仲間が行ったり着たりしていますが、そのオキゴンドウだけはそこでたたずんでいるだけ。
どうしたのかな、と。
よく見ると、理由がわかりました。
写真では分かりませんが、背びれから後ろがぐにゃっと変形して、皮膚もボロボロになっています。
腸もあまり機能していないのか、たまに排泄物が浮いてきています。
ただ、私は、そこから動くことができませんでした。
泳ぐことなく、浮き沈みを繰り返しながら息継ぎと小さくきゅう、と鳴く声の反復。
見るからに先は長くないのがわかります。
かわいそう
という感情では到底追い付かない「何か」に私は惹き付けられ、じっとそのオキゴンドウを見ていました。
こんな姿になっても、ただひたすら同じ方を見ながら同じ動きを繰り返すオキゴンドウ。
私はなぜか「ありがとう」という気持ちになりました。
きっと私は、このオキゴンドウに呼ばれてこの水族館に来たんだな、と。
畏敬の念や愛しさ、残酷さなど色々湧き上がってきて、最後にはただシンプルに生きることの美しさを感じました。
よくわかりませんが、私はこれを忘れてはいけないということだけは理解できました。
それくらいのインパクトでした。
みなさんも、機会があれば横の水槽を覗いてみてほしいです。
文章には表すことのできない「何か」を感じることができるので。
また、会いに行きたい。
もうひとりの私に。